泌尿器の疾患はダメージを受けている臓器によって症状が異なります。特に泌尿器の疾患は慢性化しているものもあるため、定期的に検査を行うことが重要です。
また、泌尿器のみなのか、他の疾患が影響しているのかなどの原因を精査することが重要となります。そのため、多面的に検査できる体制を整えております。
泌尿器科は腎臓や膀胱などの疾患に対応する科目です。
泌尿器の疾患は頻尿・血尿・尿が出ないなど様々な症状が出ます。
腎臓機能の低下や結石ができている細菌感染などその原因は様々です。
こういった疾患に対して、外科と内科の両面から治療を行える体制を整えております。
泌尿器科の診断・検査
- 尿検査(試験紙・顕微鏡)
- 試験紙や顕微鏡などを使用して、細菌、結晶、炎症などの尿内の成分を確認します。
- 尿検査(尿比重)
- 尿比重計を使用して、尿中成分の状態を実数で測定します。
- 尿検査(UPC)
- 慢性腎臓病で検出されたり、腎臓病を進行させるといわれている尿たんぱくを測定する検査です。
- 画像診断(レントゲン検査)
- 腎臓の大きさや形、結石の有無を確認することができます。必要に応じて造影剤を使用し、腎臓の詳細な評価も行います。
当院で実施している泌尿器科診療での対応例の一部をご紹介します。
慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病は腎臓の機能および構造的な異常が3ヶ月以上続いて、不可逆性の機能不全に陥る状態です。腎臓の機能が低下することで、尿毒素と呼ばれる有害な物質が体内に蓄積し、様々な障害を引き起こします。 初期の慢性腎臓病は無症状ですが、進行するに従って尿を濃縮する能力が低下するため多尿になり、その分水をたくさん飲むようになります(多飲多尿)。また、食欲・元気消失、体重の減少、被毛粗剛、嘔吐。口内炎などが認められ、末期になると全く尿が作れなくなり神経症状(痙攣や意識障害)まで見られることもあります。 診断は血液検査や尿検査などのほか、画像検査により、病気のステージ分類と全身状態の把握を行います。 治療はステージや症状により、食事療法、点滴療法、血管拡張薬などの薬の処方などを組み合わせて行います。 残念ながら、慢性腎臓病により失われた腎機能は回復することができないため、残っている腎臓の組織を温存し進行を抑制すること、症状の緩和を図ることが治療の目標になるこをが多いです。 慢性腎臓病は気づかないうちにゆっくりと進行していき、腎機能が衰え、最終的には機能しなくなります。そのため、定期的な健康診断等により早期発見し、早期治療をする事が重要です。
膀胱炎
膀胱で炎症が起こる疾患です。
原因としては細菌の感染、膀胱結石やストレスなどがあります。特に猫ではストレス性(特発性)の膀胱炎が多くを占めると言われています。
症状は少量頻回の排尿、血尿、トイレ以外での排尿などがみられます。
尿検査で尿の性状を確認し、原因となる細菌や結石がないか評価します。また、レントゲンや超音波検査により膀胱内にできものがないかの確認も併せて行います。
治療は原因によって、細菌性であれば抗生物質の投与を、結石であれば結石対応食への変更、結石の溶解を促すサプリメント等を用います。また、ストレス性であれば、ストレス性膀胱炎の対応食に変更し、また、ストレス要因を注意深く観察し、要因の解決を図ります。
尿道閉塞
尿道閉塞は尿石や尿中の不純物等が尿道に詰まり、排尿ができなくなった状態を言います。
何度もトイレに行くのに尿が出た形跡がない、トイレではないところで排尿のポーズをとる・または排尿してしまう、トイレで唸り声を上げるなどの症状が出たら尿道閉塞を疑います。
尿道閉塞は急性腎障害や尿毒症を起こし、対応が遅れるとそのまま亡くなってしまう可能性があります。特に雄において尿道閉塞の疑いがある場合は、すぐに受診してください。
原因が食事や体質など様々ですが、特に冬場に水を飲む量が減って尿が濃くなることで感染や、結石ができやすくなることで、閉塞が起こることがあります。膀胱炎から引き続いて起こる事が多いです。
神経質な子はトイレが汚れていると排尿しないことがありますので、トイレは常に綺麗な状態を保つようのしましょう。